月刊リハAI Lab 2026年6月号:AIでリハビリ実施計画書の下書きを10分で仕上げる手順【新人リハ職の時短術】

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📅 月刊リハAI Lab 2026年6月号

AIでリハビリ実施計画書の
下書きを10分で仕上げる手順

【新人リハ職の時短術 ― 個人情報の注意点もやさしく】

🔰 この記事で分かること

リハビリ実施計画書、また今日も残業で書いてる…」——新人リハ職の”あるある”です。

書類仕事にかかる時間をAIで圧縮できれば、その分を臨床や振り返りに回せます。でも”医療の書類”だからこそ、個人情報や責任の線引きも大事。

この記事では、リハ実施計画書の下書きをAIに任せる5ステップの具体手順と、守るべき注意点をセットで解説。医療保険/介護保険どちらの様式にも応用できる汎用プロンプトつきです。

1. リハ実施計画書の基本と、新人が追われる現実

リハビリ実施計画書は、医師の指示のもとに「どんな目標で、どんな内容のリハを、どれくらいの期間で行うか」をまとめる書類です。リハ職にとって毎日の臨床と算定を支える”土台”になります。

作成のタイミング(ざっくり)

  • 開始時疾患別リハを始めてから 原則7日以内、遅くとも14日以内に作成
  • 更新3か月に1回以上見直して再作成
  • 多職種医師・PT・OT・ST・看護師・MSW 等で 共同で作成する場面も多い

※ 医療保険・介護保険で様式・呼び方は異なりますが(実施計画書/総合実施計画書/通所リハ計画書 等)、”目標・内容・期間・評価を文章で書く”という構造は共通です。

新人リハ職の”あるある”

  • 目標の書き方が毎回似てしまい、言葉のバリエーションが足りない
  • 医師・他職種に渡す前に、文章の体裁を整えるのに時間がかかる
  • 3か月更新が重なると、1人で複数ケース分を書くことに
  • 結果、臨床の振り返り時間が削られがち…
書類=ムダな仕事、ではないのがポイントです。計画書は多職種連携と算定の”根拠”であり、記録の質がそのままケアの質につながります。だからこそ、下書き工程をAIに任せて、“人間がやるべき判断・対話”に時間を残す発想が大事。

2. AIの得意・不得意を知ろう

AIは“賢い助手”であって、判断する専門家ではない。まずこの線引きから確認します。

領域AIの得手・不得手リハ計画書での活用度
文章を整える ◎ 語彙・言い回し・文体統一が得意 目標・内容の文章化の下書き
構成の提案 ◎ 項目の漏れチェックや並び替えが得意 評価→目標→内容→期間の論理展開
要約・リフレーズ ◎ 短く・読みやすく書き換えが得意 長い記録を計画書の形に圧縮
専門的な臨床判断 △ 一般論は言えるが個別ケースの判断はできない 人間が決める(AIはヒント止まり)
最新の制度・算定要件 △ 学習データが古い可能性あり、必ず一次情報で確認 制度部分は自分で裏取り
責任・最終承認 ✗ AIに法的責任はない 必ず人間(医師・リハ職)が最終決定
ひと言でいうと:AIは「下書きメーカー」として最強。でも、「最終判断マン」としては力不足。下書き8割 × 人間仕上げ2割のバランスで使うのが現実的です。
🤖
みならいリハLab bot 1.0
なるほど…AIって万能じゃないんすね。全部任せたい気持ちがあったっす……。
🧑‍💻
DX先輩
“全部任せたい”気持ちはわかる。でも医療の書類に”根拠なき文章”は載せられない。AIの出力は必ず人間が読んで、裏を取って、自分の責任で直す。この一線を守るだけで、AIは強力な味方になるよ。

3. 医療保険と介護保険の計画書、何が違う?

リハ実施計画書は、保険制度ごとに様式や呼び方が変わります。ざっくりの違いはこんな感じ:

項目医療保険介護保険
主な様式例 疾患別リハ実施計画書/リハビリテーション総合実施計画書(別紙様式21・23 等) 通所リハビリテーション計画書/訪問リハビリテーション計画書 等
起点の考え方 疾患・機能障害が起点
(例:原因疾患、発症日)
生活課題が起点
(例:活動・参加、家族環境)
期間感 急性期〜回復期、比較的短期の目標設定が多い 生活期、中長期の目標設定が多い
多職種の顔ぶれ 医師・リハ職・看護師・MSW 等 医師・リハ職・看護師・ケアマネージャー・介護職 等
共通する記載項目 評価/目標/実施内容/期間/リスク・注意点/見直し(骨格は同じ)
ポイント:表のとおり、書類の”骨格”はどちらも共通。AIの下書きテンプレを1つ用意すれば、医療/介護どちらの計画書にも応用できます。
転勤・兼務・訪問リハへの異動で「計画書の様式が変わった…」と戸惑うのは新人あるある。でも評価→目標→内容→期間の順で書くという基本構造は変わりません。まずはこの骨格に慣れておくと、どの現場でも応用が効きます。

4. AIで下書きを作る5ステップ

ここからが実践編。個人情報を入力しないことを大前提に、下記の5ステップで進めます。

ステップ① 情報の”匿名化カード”を作る

患者・利用者の氏名やID、住所、具体的な病名・発症日は書かず、「年代・主訴カテゴリ・ADLの大枠・生活上の困りごと」に抽象化したメモを作ります。これが”匿名化カード”。

  • 例:「60代前半・下肢筋力低下が主訴・歩行時の安定性低下・自宅は2階建てで階段あり」
  • 要配慮個人情報(病歴の具体名・検査値の特定値・家族構成など個別特定につながる情報)は書かない

ステップ② AIに”枠組み”を投げる

「評価→目標→実施内容→期間→見直し時期 の骨格で、匿名化カードをもとに計画書の下書きを作って」とAIにお願いします。後述するプロンプトの型をコピペすればOK。

ステップ③ 出力を整える(自分の言葉に)

AI出力はあくまで”たたき台”。所属組織の書式・表現に合わせて自分の言葉に置き換えます。特に目標の具体性(測定可能か、期限が入っているか)は自分で必ずチェック。

ステップ④ 専門・制度の裏取り

AIは一般論に強い反面、最新の算定要件や様式ルールは苦手。疾患別リハの算定日数、加算の要件、様式番号などは必ず厚労省通知や院内マニュアルで裏を取る

ステップ⑤ 電子カルテ・正式様式に転記

整った下書きを電子カルテ・所定の様式に転記して、医師・多職種と共有。AIと対話した下書きファイルは、個人情報を含まない状態のままローカル保存するか、ルールに従って破棄します。

この5ステップのうち、AIが担うのは②と③の一部だけ。残りは全部人間の仕事です。「AIが書いた」のではなく「AIを使って自分が書いた」——この感覚を持てると、質もスピードも両立できます。

5. すぐ使えるプロンプトの型

AIに「いい下書き」を書いてもらうコツは、役割・対象・構成・制約を明示すること。以下は医療/介護どちらにも使える汎用テンプレです。

📝 汎用プロンプト(コピペOK・個人情報は入れない)

あなたはリハビリテーション職の下書き作成アシスタントです。 以下の情報から、リハ実施計画書の下書きを作成してください。 【前提】 – 個人を特定できる情報は含みません(匿名化済み) – 最終判断は必ず人間(医師・リハ職)が行います – 専門的判断や算定要件は一般論の範囲で記載し、断定はしないでください 【匿名化した情報】 – 年代:60代前半 – 主な課題:下肢筋力低下による歩行の不安定さ – 現在のADL:屋内移動は自立、屋外は見守りが必要 – 生活環境:2階建て、階段あり、独居 – 本人の希望:買い物に自分で行けるようになりたい 【書式】 次の5項目に分けて、300〜500字程度で下書きしてください。 1. 評価のまとめ 2. 長期目標(3か月) 3. 短期目標(1か月) 4. 実施内容の方向性 5. リスク・注意点

🔁 うまくいかない時の追いプロンプト

  • 「目標をもっと具体的・測定可能な表現に書き直して」
  • 「実施内容を運動療法・ADL練習・家族指導の3カテゴリに分類して」
  • 「読み手が医師の場合/ケアマネージャーの場合でトーンを変えて2パターン作って」
  • 「各項目に引用が必要な箇所(検査値・具体算定等)を [要確認] と注記して」
コツ:一発で完璧を狙わず、対話を3〜4往復して磨くのがコツ。人間との議論と同じで、AIも”深掘り”ほど精度が上がります。
プロンプトをテキストエディタやメモアプリに保存しておくと、次のケースにも即再利用できます。自分だけの”リハAI下書きキット”をコツコツ育てていくイメージ。

6. 絶対に守るべき注意点(個人情報・責任)

ここは“曖昧にしてはいけない一線”。AI便利でも、この4点を外すと重大トラブルにつながります。

① 個人情報・要配慮個人情報はプロンプトに入れない

  • 氏名・ID・住所・生年月日・電話番号は絶対NG
  • 病歴・検査値の具体値・服薬内容などの要配慮個人情報もNG
  • 本人を特定しうる組み合わせ(年齢 + 居住地 + 職業 + 疾患)も避ける
  • 代わりに「年代/主訴カテゴリ/ADLの大枠」に抽象化して入力する

② 所属組織のルール・情報セキュリティポリシーを確認

  • 医療機関・事業所のAI利用規程、情報セキュリティポリシーを最初に必ず確認
  • 業務端末・個人端末どちらで使うか、使ってよいAIサービスは何か、管理部門に確認
  • 勝手に判断せず、上長・医療情報管理担当に相談してから始めるのが安全

③ 最終責任は必ず人間(医師・リハ職)

  • AIには法的責任を負う能力がありません
  • 計画書の内容に間違いがあった場合、責任はサインした医療職・医師にあります
  • 「AIがそう言ったから」は通用しません。必ず自分で読み、裏を取り、直す

④ AI出力を信じすぎない(ハルシネーション対策)

  • AIは”それらしい間違い”(ハルシネーション)を出すことがあります
  • 算定要件・様式番号・法令・統計は必ず公式情報で裏取り
  • 迷ったら、文末のリンク集から一次情報を確認してください
💡 覚え方:入れない(個人情報)/確かめる(組織ルール)/背負う(責任)/疑う(ハルシネ)」の4語セットで覚えるとラク。
個人情報保護委員会も2023年6月に生成AIの利用について注意喚起を出しています。医療・ヘルスケア分野は特に慎重な領域。「便利さ」と「守るべき線」を両手で持つ姿勢が、長く使いこなすコツです。

7. bot × DX先輩 Q&A 5連発

ここからは、新人リハ職が抱きがちな素朴な疑問を、bot が読者代表としてDX先輩にぶつけていきます。

🤖
みならいリハLab bot 1.0
AIに書類を任せるって…なんか、怠けてる気がするっす……。ちゃんと自分で書かないとダメなんすよね…?
🧑‍💻
DX先輩
怠けじゃないよ。下書きをAIにやらせて、空いた時間を”臨床で必要な判断や対話”に回す——これが本来の使い方。大事なのは「AIに丸投げ」ではなく「AIを道具として自分で使いこなす」こと。むしろ、使いこなせる人の方が成長は早いと思うよ。
🤖
みならいリハLab bot 1.0
個人情報入れちゃダメ…って聞いたっすけど、具体的にどこからがアウトなんすか? 正直、境目がわからんっす……。
🧑‍💻
DX先輩
迷ったら「それを見て本人を特定できそうか?」を基準にして。氏名・ID・住所・電話・生年月日は言うまでもなく一発アウト。病名・検査値・服薬内容などの要配慮個人情報もアウト。年齢 × 居住地 × 職業 × 疾患のように組み合わせで特定できる情報も避ける。迷ったら入れないが正解。
🤖
みならいリハLab bot 1.0
先輩は現場でどういう場面でAI使ってるんすか…? 下書き以外にも使い道あります?
🧑‍💻
DX先輩
計画書の下書き以外だと、①目標の言い回しバリエーション出し②他職種向けの説明文のリフレーズ③学会発表の抄録の構成チェック④学習のための論文要約、あたりをよく使うね。共通するのは“下書き・たたき台づくり”。人間が最終仕上げをする前提で任せると、時間対効果が高いよ。
🤖
みならいリハLab bot 1.0
もし…AIに間違ったこと書かれて、それを計画書に載せちゃったら…責任って誰に来るんすか…? 不安っす……。
🧑‍💻
DX先輩
シビアに言うと、責任はサインした人間(医師・リハ職)に来る。AIは法的主体じゃないからね。だからこそ、AIの出力をそのまま載せるのはNG。必ず自分で読んで、裏を取って、自分の言葉に直してから提出する——この一線を守れば、怖がる必要はないよ。
🤖
みならいリハLab bot 1.0
新人の僕でも、今日からAI使って大丈夫っすか…? 何から始めるのがいいんすか?
🧑‍💻
DX先輩
大丈夫。ただし順番を守ろう。まず職場のルールを確認(勝手に始めない)→次に個人情報を入れない練習(匿名化カードを作る練習)→最後に小さく試す(目標文のバリ出しから)。この3段階でスタートすれば、失敗しにくいよ。不安だったら先輩に相談すれば、たいてい一緒に考えてくれる。

📊 ここまでを一枚絵で

手順と注意点を、図でまとめました。印刷して机の横に貼っておくと便利です。

🛠️ 図1:AIで下書きを作る5ステップ
① 匿名化カードを作る個人情報を抜く
② AIに枠組みを投げる汎用プロンプト
③ 出力を整える自分の言葉に
④ 専門・制度の裏取り公式情報で確認
⑤ 電子カルテ・正式様式に転記最終承認は人間
🎯 図2:AIの得意・不得意マップ
✅ AIが得意(下書きを任せる)
文章の体裁整え 言い回しのバリエ出し 要約・リフレーズ 項目漏れチェック 一般論の整理
❌ AIが苦手(人間が担う)
個別ケースの臨床判断 最新の算定要件 法令・様式の最終確認 責任・最終承認
🚫 図3:プロンプトに入れてOK / NG
✅ 入れてOK(抽象化された情報)
年代(60代前半 等) 主訴カテゴリ ADLの大枠 生活環境の概要 本人の希望(ざっくり)
❌ 絶対NG(個人情報・要配慮情報)
氏名・ID 住所・電話 生年月日 具体的な病名 検査値の特定値 服薬内容 特定できる組合せ
🤝 図4:責任の分担(AI × 人間)
計画書の内容・最終判断
AIが担う範囲
下書き・整形・提案
人間が担う範囲
裏取り・最終承認・法的責任
🤖
みならいリハLab bot 1.0
図で見ると…なんか、一気にイメージ湧いてきたっす……! 「入れてOK/NG」の図、机に貼っときたいっす……。
🧑‍💻
DX先輩
いいね。「5ステップ/得手不得手/OK-NG/責任分担」の4点セットを頭に入れておけば、明日から始められるよ。最初は小さく、たとえば”目標文のバリ出し”から試してみよう。

📝 今月のまとめ

  • リハ実施計画書の作成は「開始7日以内/3か月更新/多職種連携」が基本
  • AIは下書きメーカーとして最強、最終判断は人間
  • 医療/介護の様式は違っても 評価→目標→内容→期間 の骨格は共通
  • 手順は匿名化→枠組み投入→整える→裏取り→転記の5ステップ
  • 守る一線は「入れない・確かめる・背負う・疑う」の4語
  • まずは”目標文のバリ出し”から、小さく始めよう
🤖
みならいリハLab bot 1.0
AIってなんか怖かったっすけど、”使い方のルール”があるって分かって、少しホッとしたっす……! まずは匿名化カードから練習してみますっ!
🧑‍💻
DX先輩
いいね、その姿勢が大事。AIは正しく怖がって、正しく使う。迷ったら職場のルールと今日の4点セットに立ち返ればOK。がんばろう!

📚 もっと詳しく知りたい人向け:公式情報リンク集

この記事は、以下の公的機関・専門団体の一次情報をもとに構成しています。AIをリハ業務で使う際の判断基準は、必ず最新の一次情報を確認してください。

💡 記憶のフック:AI×医療で迷ったら「個人情報保護委員会(ppc.go.jp)」と「HAIPガイドライン」。この2本を手元に置いておけば、迷ったときの判断基準になります。

⚠️ ご利用にあたっての注意

  • 本記事は、新人リハビリテーション職向けに、AI活用の考え方と手順を分かりやすくまとめたものです。
  • AIサービスの仕様・法令・ガイドラインは随時変わります。実務で使う際は、所属組織のルール・最新の一次情報を必ずご確認ください。
  • 本記事は医療的・法律的な助言を行うものではありません。個別のケースについては専門家・所属組織の担当部署にご相談ください。
  • AIの出力には誤りが含まれうることを前提に、最終的な記載内容の確認・責任は必ず人間(医師・リハ職)が負ってください。
  • 記載内容は執筆時点(2026年6月)の情報に基づきます。
月刊リハAI Lab
2026年6月号(第3回) / 発行:リハAI Lab
臨床に集中するためのAI活用ブログ
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