AIでリハビリ実施計画書の
下書きを10分で仕上げる手順
🔰 この記事で分かること
「リハビリ実施計画書、また今日も残業で書いてる…」——新人リハ職の”あるある”です。
書類仕事にかかる時間をAIで圧縮できれば、その分を臨床や振り返りに回せます。でも”医療の書類”だからこそ、個人情報や責任の線引きも大事。
この記事では、リハ実施計画書の下書きをAIに任せる5ステップの具体手順と、守るべき注意点をセットで解説。医療保険/介護保険どちらの様式にも応用できる汎用プロンプトつきです。
📖 もくじ
1. リハ実施計画書の基本と、新人が追われる現実
リハビリ実施計画書は、医師の指示のもとに「どんな目標で、どんな内容のリハを、どれくらいの期間で行うか」をまとめる書類です。リハ職にとって毎日の臨床と算定を支える”土台”になります。
作成のタイミング(ざっくり)
- 開始時疾患別リハを始めてから 原則7日以内、遅くとも14日以内に作成
- 更新3か月に1回以上見直して再作成
- 多職種医師・PT・OT・ST・看護師・MSW 等で 共同で作成する場面も多い
※ 医療保険・介護保険で様式・呼び方は異なりますが(実施計画書/総合実施計画書/通所リハ計画書 等)、”目標・内容・期間・評価を文章で書く”という構造は共通です。
新人リハ職の”あるある”
- 目標の書き方が毎回似てしまい、言葉のバリエーションが足りない
- 医師・他職種に渡す前に、文章の体裁を整えるのに時間がかかる
- 3か月更新が重なると、1人で複数ケース分を書くことに
- 結果、臨床の振り返り時間が削られがち…
2. AIの得意・不得意を知ろう
AIは“賢い助手”であって、判断する専門家ではない。まずこの線引きから確認します。
| 領域 | AIの得手・不得手 | リハ計画書での活用度 |
|---|---|---|
| 文章を整える | ◎ 語彙・言い回し・文体統一が得意 | 目標・内容の文章化の下書き |
| 構成の提案 | ◎ 項目の漏れチェックや並び替えが得意 | 評価→目標→内容→期間の論理展開 |
| 要約・リフレーズ | ◎ 短く・読みやすく書き換えが得意 | 長い記録を計画書の形に圧縮 |
| 専門的な臨床判断 | △ 一般論は言えるが個別ケースの判断はできない | 人間が決める(AIはヒント止まり) |
| 最新の制度・算定要件 | △ 学習データが古い可能性あり、必ず一次情報で確認 | 制度部分は自分で裏取り |
| 責任・最終承認 | ✗ AIに法的責任はない | 必ず人間(医師・リハ職)が最終決定 |
3. 医療保険と介護保険の計画書、何が違う?
リハ実施計画書は、保険制度ごとに様式や呼び方が変わります。ざっくりの違いはこんな感じ:
| 項目 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 主な様式例 | 疾患別リハ実施計画書/リハビリテーション総合実施計画書(別紙様式21・23 等) | 通所リハビリテーション計画書/訪問リハビリテーション計画書 等 |
| 起点の考え方 | 疾患・機能障害が起点 (例:原因疾患、発症日) |
生活課題が起点 (例:活動・参加、家族環境) |
| 期間感 | 急性期〜回復期、比較的短期の目標設定が多い | 生活期、中長期の目標設定が多い |
| 多職種の顔ぶれ | 医師・リハ職・看護師・MSW 等 | 医師・リハ職・看護師・ケアマネージャー・介護職 等 |
| 共通する記載項目 | 評価/目標/実施内容/期間/リスク・注意点/見直し(骨格は同じ) | |
4. AIで下書きを作る5ステップ
ここからが実践編。個人情報を入力しないことを大前提に、下記の5ステップで進めます。
ステップ① 情報の”匿名化カード”を作る
患者・利用者の氏名やID、住所、具体的な病名・発症日は書かず、「年代・主訴カテゴリ・ADLの大枠・生活上の困りごと」に抽象化したメモを作ります。これが”匿名化カード”。
- 例:「60代前半・下肢筋力低下が主訴・歩行時の安定性低下・自宅は2階建てで階段あり」
- 要配慮個人情報(病歴の具体名・検査値の特定値・家族構成など個別特定につながる情報)は書かない
ステップ② AIに”枠組み”を投げる
「評価→目標→実施内容→期間→見直し時期 の骨格で、匿名化カードをもとに計画書の下書きを作って」とAIにお願いします。後述するプロンプトの型をコピペすればOK。
ステップ③ 出力を整える(自分の言葉に)
AI出力はあくまで”たたき台”。所属組織の書式・表現に合わせて自分の言葉に置き換えます。特に目標の具体性(測定可能か、期限が入っているか)は自分で必ずチェック。
ステップ④ 専門・制度の裏取り
AIは一般論に強い反面、最新の算定要件や様式ルールは苦手。疾患別リハの算定日数、加算の要件、様式番号などは必ず厚労省通知や院内マニュアルで裏を取る。
ステップ⑤ 電子カルテ・正式様式に転記
整った下書きを電子カルテ・所定の様式に転記して、医師・多職種と共有。AIと対話した下書きファイルは、個人情報を含まない状態のままローカル保存するか、ルールに従って破棄します。
5. すぐ使えるプロンプトの型
AIに「いい下書き」を書いてもらうコツは、役割・対象・構成・制約を明示すること。以下は医療/介護どちらにも使える汎用テンプレです。
📝 汎用プロンプト(コピペOK・個人情報は入れない)
🔁 うまくいかない時の追いプロンプト
- 「目標をもっと具体的・測定可能な表現に書き直して」
- 「実施内容を運動療法・ADL練習・家族指導の3カテゴリに分類して」
- 「読み手が医師の場合/ケアマネージャーの場合でトーンを変えて2パターン作って」
- 「各項目に引用が必要な箇所(検査値・具体算定等)を [要確認] と注記して」
6. 絶対に守るべき注意点(個人情報・責任)
ここは“曖昧にしてはいけない一線”。AI便利でも、この4点を外すと重大トラブルにつながります。
① 個人情報・要配慮個人情報はプロンプトに入れない
- 氏名・ID・住所・生年月日・電話番号は絶対NG
- 病歴・検査値の具体値・服薬内容などの要配慮個人情報もNG
- 本人を特定しうる組み合わせ(年齢 + 居住地 + 職業 + 疾患)も避ける
- 代わりに「年代/主訴カテゴリ/ADLの大枠」に抽象化して入力する
② 所属組織のルール・情報セキュリティポリシーを確認
- 医療機関・事業所のAI利用規程、情報セキュリティポリシーを最初に必ず確認
- 業務端末・個人端末どちらで使うか、使ってよいAIサービスは何か、管理部門に確認
- 勝手に判断せず、上長・医療情報管理担当に相談してから始めるのが安全
③ 最終責任は必ず人間(医師・リハ職)
- AIには法的責任を負う能力がありません
- 計画書の内容に間違いがあった場合、責任はサインした医療職・医師にあります
- 「AIがそう言ったから」は通用しません。必ず自分で読み、裏を取り、直す
④ AI出力を信じすぎない(ハルシネーション対策)
- AIは”それらしい間違い”(ハルシネーション)を出すことがあります
- 算定要件・様式番号・法令・統計は必ず公式情報で裏取り
- 迷ったら、文末のリンク集から一次情報を確認してください
7. bot × DX先輩 Q&A 5連発
ここからは、新人リハ職が抱きがちな素朴な疑問を、bot が読者代表としてDX先輩にぶつけていきます。
📊 ここまでを一枚絵で
手順と注意点を、図でまとめました。印刷して机の横に貼っておくと便利です。
📝 今月のまとめ
- リハ実施計画書の作成は「開始7日以内/3か月更新/多職種連携」が基本
- AIは下書きメーカーとして最強、最終判断は人間
- 医療/介護の様式は違っても 評価→目標→内容→期間 の骨格は共通
- 手順は匿名化→枠組み投入→整える→裏取り→転記の5ステップ
- 守る一線は「入れない・確かめる・背負う・疑う」の4語
- まずは”目標文のバリ出し”から、小さく始めよう
📚 もっと詳しく知りたい人向け:公式情報リンク集
この記事は、以下の公的機関・専門団体の一次情報をもとに構成しています。AIをリハ業務で使う際の判断基準は、必ず最新の一次情報を確認してください。
⚠️ ご利用にあたっての注意
- 本記事は、新人リハビリテーション職向けに、AI活用の考え方と手順を分かりやすくまとめたものです。
- AIサービスの仕様・法令・ガイドラインは随時変わります。実務で使う際は、所属組織のルール・最新の一次情報を必ずご確認ください。
- 本記事は医療的・法律的な助言を行うものではありません。個別のケースについては専門家・所属組織の担当部署にご相談ください。
- AIの出力には誤りが含まれうることを前提に、最終的な記載内容の確認・責任は必ず人間(医師・リハ職)が負ってください。
- 記載内容は執筆時点(2026年6月)の情報に基づきます。